アドルフ・ヒトラーとは、ドイツの政治家・首相であり、ナチスの指導者である。
人種主義(人種を理由に差別すること)の思想からユダヤ人を迫害し、アウシュビッツ収容所に集めて、罪の無い人間を子供から老人まで大量に虐殺する命令を下していたのはヒトラーである。
敗戦を目前にして自ら命を絶つことを選んだヒトラーだが、彼の死には様々な謎が残っているのだ。
今回はこのヒトラーについての都市伝説について紹介しよう。
ヒトラーの死
第二次世界大戦が終わりを告げようとしていた時、ヒトラーは自国であるドイツが敗戦するだろうと考えており、周囲の人間に自殺をほのめかしていた。
そしてドイツが敗戦することを認めざるを得なくなった時、自身の主治医に「シアン化合物を摂取し、銃で頭を撃つ」という“確実に自殺できる方法”を聞いた。
自分の死体が見世物にされる事を恐れたヒトラーは、死体を焼却するように部下に命じ、着々と自殺の準備を進めていった。
自殺の前日、愛人のエヴァ・ブラウンと小さな結婚式を挙げ、秘書に遺書を記録させた。
翌日、いつものように料理人が作った昼食を食べ、結婚式を挙げ妻となったエヴァ、二人の秘書と談笑した後、彼らに別れを告げて、自身の書斎に妻と共に入っていった。
書斎に入ってから一時間程経過すると、大きな銃声が響き、駆けつけた秘書たちによって二人の死亡が確認された。
約束通り、遺体はガソリンをかけて焼却された。
謎その1・ヒトラーの死体
ヒトラーの死体がスターリンの命令によってソ連軍に発見された際「口髭がある男性と女性の焼死体を発見した。」と報告をしたらしいが、ガソリンをかけて焼かれ、丸焦げになった焼死体に口髭だけが上手く残っているものだろうか?
その数日後、ヒトラーと思われる焼死体とは別の死体を発見したとの報告があり、こちらの死体は焼かれておらず、口髭を生やし、左のこめかみ辺りに銃で撃った痕があったそうだ。
最初に発見された焼死体の写真は公表されていないが、こちらは死体の写真も公開されている。
その後、公表されていない焼死体がヒトラーだったと断定された。
とすれば、口髭を生やし、頭に銃で撃たれた痕が残っている男性の遺体はなんだったのか。ヒトラーの影武者なのか、焼死体をヒトラーだとわかりにくくする為のカモフラージュだったのだろうか。
ヒトラーの死体の写真は公表されていないが、それ以外のゲッペルズ、グーリング、ヒムラーなどのナチス幹部の死体の写真は大体的に公表されているのもおかしな点である。
謎その2・ヒトラーの死因
ヒトラーが自殺をしたのは15時半頃だと記録されているが、その時間、書斎の扉の前で見張りをしていた部下によると銃声は全く聞こえなかったという。
ヒトラーの死体を目撃したソ連軍の証言も「喉を撃っていた」「右のこめかみを撃っていた」「左のこめかみを撃っていた」等、かなりバラつきがあり、彼らが死体を目撃したのかさえも、怪しいところである。
ヒトラーの死因は検死の結果、「服毒自殺であり、頭には銃で撃った痕跡はなかった」と断定されている。
そうなるとやはり上記の目撃情報は嘘であるか、あるいはヒトラーに良く似た人物の死体をヒトラーだと勘違いしているだけ、という事になる。
それにしても三通り目撃情報がある以上、ヒトラーの影武者も三人存在する事になってしまう。
そして時は進み、2000年になるとモスクワでヒトラーの頭蓋骨が公開され、大きな反響を呼んだ。
実はこの頭蓋骨には銃で撃たれたかのように、こめかみに穴が開いており、服毒自殺だとソ連が断定していた死因がひっくり返る可能性があったのだ。
2009年には、大学の研究チームが頭蓋骨を分析すると20歳から40歳の女性の頭蓋骨である事が判明した、
※わかりにくいのでヒトラーの死因をまとめると・・・。※
・銃声が聞こえなかったので、死因は銃によるものではない。(となると服毒自殺か?)
・口の中に銃弾を撃ち込んだ
・右(または左)のこめかみに銃弾を撃ち込んだ
・服毒自殺をした
・穴の開いたヒトラーの頭蓋骨が見つかるが、ヒトラーではなく、女性のものだった
これらの死因をまとめると、「結局のところヒトラーの死因は不明」である。
ソ連による口止め
ソ連の首相であるスターリンは、ヒトラーの死体に関わった者すべてに口止めをし、情報を一切口外しないように徹底していたという。
その理由について最も有力なのが「ヒトラーを見つけられなかった事を隠す為」である。
ドイツを追いつめて、ヒトラーを自殺に追い込んだはいいが、実際にはヒトラーの死体を発見できなかった、という失態を晒すのを恐れたのだ。
そしてヒトラーの死体が発見されなかったとなれば、ソ連は「ドイツがヒトラーをどこかへ逃亡させた」と考えるのが普通である。
実際に「ヒトラーが自殺をしたとされる日の早朝、女性一名、男性三名を乗せた小型飛行機が飛び立ったのを見た。」という目撃情報が残っているのだ。
つまり、何人かの影武者に自殺をさせ、どれが本物のヒトラーかわからなくなるようにソ連を攪乱したのである。
そして彼は自殺を装い国を捨て、妻と共に逃亡したのである。
逃亡が成功したとして、彼の目撃情報が全くないのを見ると逃亡後は妻と一緒にひっそりと余生を過ごしたのではないだろうか。
何人もの罪の無い人々を人種差別によって虐殺したヒトラーだが、苦しむことなく、自分だけ戦地から尻尾を巻いて逃げ出したのだとしたら、なんと卑劣で間抜けな人間だろうか。
憎まれっ子世に憚るとはまさにこの事である。