未解決事件

【未解決事件】エリサ・ラム事件の謎に迫る!



2013年2月19日。

アメリカ合衆国ロサンゼルスのダウンタウンにあるセシルホテルの貯水槽内で当時21歳だったエリサ・ラムという女性の遺体が発見された。

この事件は、ロサンゼルス市警が事故死と発表したにも関わらず、謎が多く残ることから、怪事件として有名で数々のテレビ番組にも取り上げられている。

今回は、そんなエリサ・ラム事件についてまとめていきたいと思う。

エリサ・ラムとは

 

エリサ・ラムは、1991年4月30日生まれ、香港からの移民の娘で、当時はカナダブリテッシュコロンビア州バンクーバー在住。ブリティッシュコロンビア大学の学生で、英語と広東語が話せた。

アメリカへは、2013年1月からアムトラックの鉄道や都市間バスを利用した旅行に1人で来ていた。

1月26日にロサンゼルスに到着し、28日に現場となったセシルホテルにチェックイン。

ホテル5階の共同部屋に泊まることとなった。

しかし、同室の宿泊者がエリサ・ラムの奇行に苦情を訴えたため、2日後にエリサ・ラムは1人部屋となった。

旅行中、毎日両親に連絡をしていたが、1月31日から連絡が途絶えた。

 

エリサ・ラム事件の全貌

 

エリサ・ラムから両親への連絡が途絶えたことにより、両親がロサンゼルス市警に通報、捜査協力のため、すぐにロサンゼルスへ向かった。

失踪から1週間後の2月6日に、ロサンゼルス市警は周辺へエリサ・ラムの顔写真が入ったチラシの配布やインターネットへの掲載などの捜査が始まり、2月15日に最後に撮影された映像を公開したことにより、メディアに取り上げられて、この事件が注目を集めるようになった。

失踪から時間が経つにつれて、ホテルの部屋の蛇口から水が出にくい、水の色が黒く変色している、味がおかしいと苦情を受けるようになった。

2月19日にセシルホテルの保守担当者がホテル屋上にある4つの貯水槽を確認したところ、奥側にある貯水槽の中にエリサ・ラムの遺体が浮いているのを発見した。



・エリサ・ラム事件の不可解な謎

エレベーター監視カメラの映像

 

この事件が有名になったのは、2月1日に撮影された、この映像が世に出たことが大きい。

【映像の内容】
・エレベーターの扉がなかなか閉まらない
・エレベーターのボタンをいくつも押す
・誰かに追われているかのように、エレベーターから顔を出して左右を確認したり、死角に張り付いたりする
・エレベーターから降りて誰かと話しているような手振りをする(別の角度のカメラで確認しても誰もいない)
・結局、エレベーターには乗らず、エリサ・ラムが立ち去った後、扉が閉まる

 

エレベーターの扉が2分間程度閉まらなかったのは、開延長ボタンを押してしまっていたからというのは監視カメラの映像から判明されている。

本当に誰かに追われていたから動揺して、いろんなボタンを押してしまうのは仕方がないことだが、エレベーターから降りて誰かと話す素振り、結局はエレベーターに乗らず降りた点は謎が残る。

また、監視カメラの映像が加工されていることから、警察官殺害説まで出た。

 

屋上へどうやって登ったか

 

屋上への登り方は4つの方法があった。

1つ目は、階段で屋上まで行き、警報器が付いた扉から出る方法。

事件があった可能性がある期間中は一度も警報器は鳴らなかった。

その警報器を事件後に確認したところ、故障はしておらず、従業員でなければ警報器を切ることができなかったため、まず従業員が疑われたが、全員にアリバイがあった。

その他の3つの方法だが、それぞれ3つあるビルの非常階段から梯子を登る屋上へいく方法だ。

途中までは階段があり、そこから屋上までは梯子を登らないといけない。

女性が地上何十メートルの高さで命綱を付けずに梯子を登りきることができるだろうか。

その点は、失踪以前にエリサ・ラムは、セシルホテル屋上からの写真を自身のSNSへ投稿しており、屋上まで登ったことがあることが判明している。

その際も、警報器が鳴っていないことから、非常階段の梯子から登った可能性が高いと考えられる。



貯水槽の謎

 

エリサ・ラムの死体が発見された際、遺体の入った貯水槽以外の3つの貯水槽の蓋には鍵がかけられていた。

例の貯水槽には鍵はおろか蓋すらなかったと噂があったり、蓋はしっかりとされており、女性1人で持ち上げるのは難しいほどの重さだったと噂があったり、実際のところは不明である。

しかし、ホテルの客室にも届く水を貯めておく貯水槽に蓋がなく雨晒しだったとは考えにくい。

また、幅1.2m×高さ2.4mの貯水槽へ梯子などもない状態で、どうやって登ったのか疑問が残る。

ロサンゼルス・タイムズで市警広報官が話したことが次のように記事になっている。

「午後になって、彼女の体を取り出すために、2ダースもの消防士が動員された。4つの貯水槽は密に並んでいる上に蓋は小さい。われわれはタンクの一部を切断しなければならなかった」

こちらの証言から、遺体を出すのが大変だったこと、貯水槽の入口が小さかったことがわかる。

エリサ・ラムの遺体に外傷がなかったことから、誰かに無理矢理に貯水槽へ入れられた可能性は低いと考えられた。

もう一つの謎は、エリサ・ラムの遺体は裸で発見され、着ていた衣服は貯水槽内に脱ぎ捨てられていたことである。

 

警察犬が気付かなかった

 

警察犬はエリサ・ラムを探してホテル中を捜索し、屋上も探した。

貯水槽付近は捜索していなかったものの、警察犬はエリサ・ラムの痕跡を発見できなかったのである。

 

家族へのお土産、バスのチケット

 

エリサ・ラムが失踪した当日にホテル近くの本屋で家族へのお土産を購入している。その際に、本屋の女性店員とこれからの旅行の予定を楽しげに話していた。

この女性店員の証言では、これから死を考えている様子なんて全くなかったとのことだ。

また、エリサ・ラムの遺留品からバスのチケットが見つかっている。

自殺を考えている人間がこれからの予定を他人に話したり、バスのチケットを購入したりするだろうか。



ホテル周辺は治安が悪い地域

 

現場となったセシルホテル周辺は、路上にテントを張っているホームレスの人が多く存在し、強盗や殺人などの犯罪が多発する治安が悪い地域となっている。

またセシルホテル自体も、これまでに数々の残虐な事件の舞台となっている。

ロサンゼルスで最も有名な未解決事件、ブラック・ダリア事件の被害者エリザベス・ショートも最後にセシルホテルに泊まっていたとされている。

1964年「パーシング広場の鳩女」ゴールディ・オズグッドが強姦・殺害されたのも、セシルホテルの1室で起こった。この事件もいまだ未解決事件となっている。

1980年代半ばには、「夜のストーカー」と呼ばれていた連続殺人鬼、リチャード・ラミレスの常宿だった。彼はセシルホテルで13人もの人々の殺害。11人の女性をレイプしたという。

数々の事件の舞台となったセシルホテル。まさに呪われたホテルだったのではないだろうか。

現在はすでに閉館している。

 

エリサ・ラムは精神障害だった

 

エリサ・ラムは「双極性障害」と「抑鬱症」と精神科医に診断されていた。

そして、ウェルブトリン・エフェクソール・セロクエル・ラミクタールという4種類の薬を治療のために服用していた。

以前、短期間失踪したこともあり、彼女の精神状態は不安定であったことは確かである。

しかし、今までに一度も自殺をしようとしたことがなかったことから、両親は自殺ではないと主張している。

 

某テレビ番組での見解

 

私がこの記事を書こうと思ったのは、某テレビ番組の見解を見たからだ。

そのテレビ番組の調査では、『エリサ・ラムは、精神障害の薬を飲んでいなかったために幻覚や幻聴から逃げて、屋上の貯水槽に隠れた。すると、だんだん貯水槽の水が減っていき、登れなくなって溺死した。』との見解だった。

しかし、遺体から所有物で見つかった処方の薬物と一致する成分が検出されていること、その他の謎も多いため、この見解に疑問を抱いた。

 

まとめ

 

これほど謎が多く残る、エリサ・ラム事件。

初めてエレベーターの監視カメラ映像を見たときの衝撃は今でも覚えている。

私が都市伝説や未解決事件に興味を持つきっかけになった事件の一つだ。

しかし、実際のところは
21歳の若い女性が亡くなった悲惨な事件。

いつか真実が公になってくれることを願っている。