井の頭公園バラバラ殺人事件とは、1994年4月23日に発覚した猟奇的殺人事件である。
警察による懸命な捜査も虚しく、事件は迷宮入りし、2009年4月23日に時効が成立。
未解決事件となった。
事件の詳細
1994年4月23日の午前。
東京都三鷹市にある井の頭公園のゴミ箱に、ゴミ袋に入れられた人間の足首が捨てられているのを清掃員の女性が発見した。
女性は猫の餌になりそうな物を探そうとして、ゴミ袋を開封したのだという。
女性から通報を受けて、現場に駆けつけた警察官らが公園一帯を捜索したところ、27個に切断された人間の手足や、胴体の一部が同じようにゴミ袋に入れられた状態で、7箇所のゴミ箱から発見された。
使用されたゴミ袋は、中身が見えず、穴が空いて水が切れるようになっている黒い袋と、半透明の袋の二重構造になっており、漁師などが使う、特殊な方法で固く口が結ばれていた。
切断された被害者の手足の指紋は、ほぼ全て削り取られていたが、わずかに残っていた指紋やDNAから、公園の近くに住んでいた男性(死亡当時35歳)だと判明した。
死因は不明だが、肋骨あたりの筋肉繊維に生前出血の跡がみられた。
この事件について、様々な説が噂されてはいたが、被害者の交友関係からは犯人に結びつく情報が乏しく、2009年4月23日、犯人逮捕に至ることなく、時効の成立を迎えた。
未だ、多くの謎に包まれている事件である。
遺体の特徴
切断されていた被害者の遺体は、太さや長さが綺麗に揃えられており、電動鋸のようなもので、約20cm間隔になるよう、均等に切断されていた。
この細かなサイズにした理由として、公園内の投入口が小さなゴミ箱に入るようにしたのではないかと言われている。
また、遺体からは血液が一滴残らず抜き取られており、このような特殊な作業を行うには、一般家庭の風呂場にあるような設備では、血の排水などが追いつかず、それを洗い流す為に、大量の水と医学的な知識が必要だと考えられる。
さらに、遺体の身元発覚を遅らせる為か、手足の指紋がほぼ全て削り取られていた。
遺体の切断サイズは均等であるが、切断方法は3パターン程あり、犯人は1人ではなく、複数犯だったのではないかとも言われている。
警察の捜査で発見された被害者の遺体は、全体の3分の1程しか発見されておらず、被害者の頭部や胴体の殆どは、現在も見つかっていない。
見つかっていない遺体は、事件前日の22日に、同様に公園のゴミ箱に捨てられた後、ゴミ収集車に運ばれて、焼却処分された為、見つからないのではないか、という説もある。
被害者の足取り
被害者が知人と別れた22日、午前0時過ぎには、被害者と思われる男性が自身の最寄り駅で目撃されている。
そして、井の頭公園近くのJR吉祥寺駅のデパートの脇で、若い男性2人に殴られていたという証言があり、ゴミ箱から被害者の切断された遺体の一部が発見された23日、午前4時頃には、公園内をポリ袋を持って歩く怪しい2人組の男性が目撃されており、共に30代位とみられている。
この証言以外にも、被害者が失踪したと思われる時間帯に、人と車が激突したような音を聞いたという情報もあり、交通事故に遭い死亡した被害者の遺体を隠す為、バラバラにして捨てたのではないか、という見方も出ている。
事件にまつわる様々な説
この事件は、捜査が難航していたこともあってか、犯人や被害者の殺害理由について、様々な説が存在する。
宗教団体に抹殺された説
被害者は、東京都高井戸にある某宗教施設の信者として通っており、その宗教団体と何らかの揉め事を起こし、事件に発展したのではないかと言われている。
また、その一方で｢被害者は宗教に入信してなどいない。｣という真逆の報道もなされた。
人違い殺人
事件から6年が経過した頃、新たな証言が得られた。
なんと、この事件は「人違い殺人事件」だったかもしれないというのだ。
当時、吉祥寺に倉庫を借り、露天商の元締めとして被害者とよく似た男性（以下、A）が、縄張り争いでトラブルを起こしていた。
そして1人の外国人露店商を締め出そうとしていたそうだ。
実はこの外国人露天商、某国の工作員であり、彼らの機密情報が漏洩してしまったことで、逆にAは監視され、命を狙われるようになったのだという。
身の危険を感じたAが都内数箇所のビジネスホテルをを転々としている最中に、この事件が起こったと言われている。
事件発生時も、Aは都内のビジネスホテルに潜伏していた。
偶然が必然か、被害者の自宅と、Aの借りていた倉庫は近くにあり、A自身、被害者と間違えられることが何度もあったのだという。
つまり、被害者はAとよく似ていた為に、Aと間違えられて工作員に殺害されたかもしれないということである。
まとめ
いかがだっただろうか？
犯人の計画的な証拠隠滅により、この事件は、未解決事件となってしまった。
映画化もされた某殺人事件の犯人は殺人哲学として｢死体を透明にすることが最も大切。｣と述べている。
つまり、殺人を犯して人を殺めても、遺体が見つからなければ、事件は発覚しないということである。
未だ遺体が発見されず、失踪として片付けられている事件も、数多くあるに違いない。
