未解決事件

【未解決事件】スーパーナンペイ事件②~犯行現場の様子・犯行動機~



前回は、事件当日の経過についてご紹介したが、今回は事件現場の様子や犯行動機について紹介したいと思う。

犯行現場の様子

 

前回の記事でも触れた通り、発見時、事務所の鍵は施錠されていなかった。

遺体が発見された際、AとBは店の制服から着替えて私服になっており、事務所を出たところを脅されて押し入られたと推測される。

Aは事務所奥にある金庫の横で、頭をもたれるようにして倒れており、頭部を二発撃たれており、拘束されていなかった。

拳銃で撃たれた痕以外に「発砲した銃口の熱で火傷した痕」があった。

BとCは金庫の手前で倒れており、それぞれ頭部を1発ずつ撃たれ、口をテープで塞がれていた。

二人は片手同士をテープで巻かれ、背中合わせにされており、テープはよじれていたことから、なんとかして逃げようとしていたことが伺える。

使用された粘着テープには犯人の指紋の一部と、汗が付着しており、事務所内は荒らされていなかった。

 

犯行動機

 

犯行動機については「強盗説」と「怨恨説」の二つが考えられる。

強盗説

 

犯行現場となったスーパーは、事件前に何度も空き巣に入られていた。

スーパーの営業中は二階事務所が施錠されていないことが多く、それは夜間においても同じだった。

「不用心なスーパー」として近所でも有名な存在で、従業員が売上金をレジの引き出しごと持って、一度外に出てから外階段を登り、二階事務所に入ってから金庫に保管していた。

売上金を運んでいる様子を近隣住人らが目撃しているほど、スーパーの防犯には問題があった。

それに加え、夜間の勤務を女性だけに任せていたことも多かった。

被害者のAは、スーパーの防犯対策について友人に不安を漏らしていたことも明らかになり、それが原因で一時的に店を辞めていたこともあったという。

このような状況もあり、現金強奪を目的とする犯行グループなどから、ターゲットとして狙われた可能性もある。

同時期に、多摩地域では夜間もスーパーの事務所を狙った強盗事件が多く発生しており、犯行手口が本件と酷似していることから、同じ犯行グループが関与しているのではないかとする見方もある。

犯人が金庫の開錠番号を割り出せなかった可能性があり、金庫には鍵が差し込まれたままになっていた。

これは犯人がAに金庫を開けさせようとした形跡だと考えられている。

BとCをガムテープで拘束し、身の自由を奪っていたことも強盗を思わせる要素である。
しかし犯人は何らかの理由で金庫の開錠を断念し、短時間のうちに三人を射殺した。

計画通りにいかずに気が動転したのか、すぐさま逃走を図ったという経緯も考えられる。

犯人が発砲した銃弾は合計五発。

四発は被害者達に向かって発砲したが、一発は金庫の扉に向かって発砲していた。

部屋に押し入った直後、威嚇射撃として発砲した可能性が考えられるが、金庫や現金に何らかの執着があった為に、逃走する直前に金庫に向けて発砲した可能性もある。

事件発生当日、スーパーの周辺では不審人物が四名目撃されているが、これらの人物は、あくまでも不審人物であり、犯行に関与したと断定する証拠がない。

しかし、犯行前の下見だと考える根拠としては十分である。



怨恨説

 

被害者は三人とも脳幹を撃ち抜かれ、即死状態であった。

しかし、Aのみ計二発発砲されており、至近距離から左額に一発砲されて射殺され、更にもう一発頭頂部に銃弾を打ち込まれている。

このことから、Aに対して恨みを持つ人間が、額からの銃弾でAが即死したにも関わらず、執拗に頭頂部からも拳銃を撃ち込んだ可能性が考えられる。

強盗目的で至近距離から躊躇いもなく頭部を拳銃で撃てる人間は、そう多くないと言われており、強い殺意があったことが、怨恨説を疑わせる根拠となっている。

Aは生前、カッターナイフの刃入りの脅迫文を送りつけられた事があり「このままだと命がないぞ。」という文章が書かれていたことが捜査で判明している。

脅迫文の差出人は未だに不明である。

Aは女性でありながら、気性が荒い性格だったといい、飲食店で連れの男性を激しい口調で罵倒している様子を目撃されている。

それは特定の人物だけではなく、他の男性達にも同様の態度を見せていたという。

また過去には、Aに対して金銭的援助を行っていた男性からの援助が滞った事を理由に、男性と縁を切ったことで、トラブルを起こしたこともあった。

それらのことからAの友人達は事件を聞いた時に「事件は強盗ではなく、Aに恨みを持っていた者の犯行に違いない。」と直感的に思ったのだという。

事件の関係者の中に、A以外で恨みを持たれている人物がいたという有力な情報は今のところない。

事務所だけではなく、売り場でも頻繁に万引き被害に遭っていたこともあり、店側が万引き犯に警告する意味で「泥棒野郎へ」と書かれた警告文を外から見えるように掲示していた。

このことから店に何らかの恨みがある者の犯行に繋がっている可能性も指摘されている。

 

まとめ

 

今回は、事件現場の様子や犯行動機についてまとめてみた。

次回は、スーパーナンペイ事件、最後の記事になる。

事件の犯人像にせまっていきたいと思う。